音源&シンセレビュー … MIDIMAN(M-AUDIO) Radium61

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●シンセじゃないですけど…

MIDIMAN Radium 61
鈴スタのRadium61。画像が荒いのはSO505iだから。ショボイ

ンセでも音源でもないですが、ちょっと気にかかったことがあった(というか悔しかった)ので書いてみようと思います。

かつてのMIDIMANであるM-AUDIO社のMIDIコントロールキーボード・KeyStationシリーズのRadium61です。詳細スペックはメーカーWEBに任せるとして、ざっと特徴を…

・61鍵ベロシティセンス付き鍵盤(アフタータッチは無い)
・アサイン可能な8スライダー+8コントロールノブ
・USB接続で電源いらず、1OUTのMIDIインターフェースにもなる
・SLTEテクノロジーでMIDI入出力の精度を大幅アップ

売り文句はこんな感じでしょうか。では実際に使ってみたインプレッションを書いてみようと思います

●価格は安い…ような気がする

入はいつもの音屋で23,900円+税。確か10年くらい前にROLANDのPC-180という49鍵コントロール用キーボードが2万くらいしたことを考えると安いです。だって鍵盤+MIDIインターフェース+コントローラー16個だもんね…まぁ安いモノには落とし穴があるということで、気づいたことを項目立てて書いてみようと思います。


●ベロシティー感知がーー!!!

盤楽器の命ともなるキータッチ。これは最初から期待していなかった(というかピアノやってたわけでもないので実はどうでもいい)ので気にしてませんが、普通の安っぽさです。ピアノタッチ崇高主義の方意外は入力用としては問題ないと思います。しかし、ベロシティの検知の段階が広すぎてかなり厳しい感じです。どういうことかというと、通常ピアノは音を叩く強さで音量をコントロールできますが、これをMIDIキーボードは鍵盤を押し込む速度を感知し、1〜127という数値で表します。数字が大きいほど大きな音(速い打鍵速度)を表しますが、この1〜127の値を検出するメカニズムがちょっとアレなのです。

具体的な数値を挙げると、90から上は90,103,111,124,125,127。これしか入力できません。つまりどんなに鍵盤を繊細にコントロールして叩いても91〜102までのベロシティが出せないことになります。音源の中にはベロシティ100を境に再生するサンプルをスプリットしている機種も多いわけで、この100前後のコントロールがここまで粗いと正直使いづらいです。今までRolandのA-33(今は後継機のA-37が出てます)で鍵盤入力してきてたんですが、こちらはベロシティに関してはすごく自然でしかも精密なコントロールができる鍵盤だったので今回のこの有様はショックでした。ちなみに鈴木7才SAX担当の寿司職人・ShinoもこのA-33を持っています。何を隠そう1stAlbumのジャケット写真に使っているA-33は鈴木のモノではなくShinoのA-33です。当時はPC-180しか持ってなかったんですよ〜〜(苦笑)。

この仕様に関しては多分Radium49もOxygen8も一緒なのかな…と思います。M-AUDIOに問い合わせ中です。

10月19日追記:ベロシティに関しては仕様のようです。どうしようもないです。


Roland A-33
A-33です。世代交代で生産中止になっているので写真はかっぱらってきたものです。


●高解像度ノブ、確かに高解像度だけど…

Oxygen8とRadiumシリーズの売りでもある高解像度ノブとスライダー。確かに鍵盤部と違い高解像度で、0〜127まで128段階で数値がコントロール可能です。しかーし。スライダー・ノブともに中央が「63」じゃないのです。スライダーはまだマシですがノブなんて1時〜2時の間で63を表示し、しかも8個とも位置がバラバラというふがいなさ。これでPanをコントロールできるようになってるらしいですが、この有様では正確なパンニングなんて不可能…というか人をバカにしてるんかいって感じです。ノブをぐりぐり回してリアルタイムにフィルターをコントロールするんだー!という人には気にならないかもしれません。でもバラバラなのはイヤだなぁ。参考までに鈴スタのRadiumのコントローラー部を全て中央値の63に合わせて写真を撮ってみました。

ちょっと上気味ですが。
スライダー部を全部中央数値に調節。まぁこっちはいいや。
全然真ん中じゃないぞ
ノブを中央値に調節。明らかにおかしい…
●アサイナブルコントローラーの盲点

で書いたコントローラーには、それぞれにコントロールチェンジを割り当ててリアルタイムに操作できるようになるわけです。そして16個のコントローラーのアサインを15組のプリセットに保存でき、結構簡単な操作でプリセットを呼び出し瞬時に切り替えることができます。この辺はライブとかだと便利です。

しかーし。このコントローラー、それぞれに保存できるのは「コントロールチェンジNo.」と「MIDIチャンネル」の組み合わせなのです。つまり、プリセットNo.1の9番ノブに「MIDIチャンネル6のCC74番」のように保存するわけです。一見理にかなった設計になっているようですが、とんだ落とし穴が。このノブ及びスライダーが発するコントロールチェンジ信号、たとえ鍵盤のMIDIチャンネルが1だろうが頑固にノブに登録されたMIDIチャンネル(例えば6チャンネルなら6チャンネルの)のコントロールしかできないのです。

だから、8個のノブにそれぞれMIDIチャンネル1のCC1,7,10,11,71,72,73,74を割り当てたとします。鍵盤部をチャンネル1に設定し演奏しているときはそれは気持ちよくリアルタイムコントロールが楽しめるでしょう。しかし鍵盤をチャンネル2に切り替えて別の音を鳴らそうとしたとき、この8個のノブはそれでも1chに向けてコントロールチェンジを発し続けるわけで、全く意味の無いモノになってしまうのです。せめて1〜16chの他にも現在鍵盤で使用しているチャンネルへコントロールチェンジを発する、という設定も設けて欲しかったものです。

●総評

格を考えると機能も充実して悪い買い物ではないと思いますが、鍵盤部のショボさが痛かったです。これ知ってたら買わなかったかも知れません(ぉぃ ていうか店頭で触ったとしてもベロシティの解像度なんて調べようねーよ!!!と思ったりするのですが。店頭デモで偶然シーケンサーなんかに繋がってたら試せるかもしれませんがそんなこと気にしてませんでした。ていうかこれからは気にして買い物することになると思いますが(^^;ひょっとしたらノブの部分と合わせて故障かもしれないので、もしそうだったらいいな…などと悪いことを考えている平日深夜0時でした。

以上、購入を考えている方の参考にして頂ければ幸いです。というかこんなレビュー読んだら買う気失せるわな…あ、ちなみに持ち歩いてモバイルするには61鍵の割に重量も軽くて(2〜3kgくらいかな)良いです。OSXノート+CoreAudioみたいな別に音源を用意しなくても持ち歩けるノートがある人にはうってつけでしょう。

(ちなみに僕のノートはWindowsなので外部音源必須でバンド録音用と回分けてる金なんか無いので896を6Uラックに入れて持ち歩いてます。重くてかなわないですが…これならTRINITY持ち歩いた方が楽じゃないかと考え始めている今日この頃です。げっふう。)

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